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最後の忠臣蔵 [時代劇・ドラマ]

お気に入り度★★★★★(号泣必至の名作)

最後の忠臣蔵 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD
■孫左衛門は幸せだった

「死ぬことはないじゃないか」と思う人がいるだろう。
でも私はそうは思わない。
彼は、思いがけなく与えられた年月で、夢見ることさえなかった形の幸せをつかの間経験したのだ。
それ以上何かを求めることは「執着」であり「欲」であり、「醜い」んだろう。
彼にとって無目的に老いさらばえるのは生き恥でしかないのだ。
私たちが心揺さぶられるのは、窮屈な美学の中に恐れや虚栄心を押し込めたまま死んで行く侍の姿ではなく、無欲なまま粛々とした男の生きざまを目の当たりにして、彼に「死んで欲しくない」と心から思うからではないのか。

そこで、ふと思う。
滅私とはなんだろう。
確かに孫左衛門の一生は他人の為に己を捨て貫いて、主体性がないようにも映るだろう。
でもそれは、尽くす事によって彼も幸せを享受していると言えるし、人間本来の根本的な幸せの一つなのではないか。
後ろ向きな言葉にとられがちだが、その行為は深い精神の結びつきを内包しているのかもしれない。
自分、自分と言ってる割に自我が強い他人のことは許せない、そんな人間が多い中、凄く当たり前の事を思い出させてくれた。

寿命が長い人間は、自然界のように必要な分だけ生き、さらりと逝くことが難しい。
まござのように、自分の成すべきことがわかっていて、しかも自分にしかできない人生を全うした事が羨ましくも映る。
現代には人生の選択肢が沢山あり、私たちはあたかも全部選べる気になっている。
が、実際はどうだろう。勝手に自分の器を見誤って奢り、苛つき、現実とのギャップに勝手に苦しんではいないだろうか…。

孫左衛門の生き方はシンプルだが、禅的とは少し違う。彼の苦渋が刻まれた皮膚には、悩み、嫉妬、羨望、諦観が浮き出ている。
削ぎ落していくと最後まで彼を動かしていたのは、寺坂吉右衛門が圧倒される程の…愛情なんですよねぇ(泣)。
主人への、可音への、先に逝った仲間たちへの。

それにつけても、やっぱり悲しいのは残された女なんだなぁ。ゆうの気持ちを考えると…
女の幸せはいつまでたっても愛する人と仲睦まじく生きていくことだもの。
いつまでも愛する人を記憶していてあげるのが、女のつとめなのかもしれないね。

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