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大英博物館-Hokusai展 [★和の催し]

●サントリー美術館

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葛飾北斎展。
そのあまりの才能ぶりに、 観ているこちらのエネルギーも消耗。
晩年になればなるほど、イラストのようなデザイン性の高い構図から、精緻で鬼気迫る筆遣いになっていく。

富岳三十六景は、現代のイラストレーションとして、その構図の妙は教科書のような存在。
早馬の駆ける馬上の男の顔を描かず笠だけにしたり、4:3の比率で大木を天地まっすぐに配置したりとその構図のダイナミックさと、大胆な足し引きに舌を巻く。
特に鴨はお気に入りとみて、その羽毛の柔らかさは手に触れられるよう。

印象際立つのは「弘法大師修法図(の絵弘化年間1844-47)」の鬼と弘法大師画。
弘法大師の脇の木に、びっしりと茸が生えている。本来、物語にはこの茸は描かなくてもいいはずだが、茸があることで妙な現実感がある。左にいる鬼という虚構の存在から右に視線をうつしていくと、現実になっていくという感じも受ける。
それに相対して、「白拍子」のうりざね顔の美しさ。展示エリアごとに当時のイギリスの文化人のコメントが引用されていたが、まったく同じように同じ人物の手によるものだとは思えない。

解説が欲しいのは「端午の節句図」。
兜の下げから伸びるベールのようなもの。あれはなんだろう?しかも甲冑を床の間に飾らずに台に立てかけ、足下に熨斗袋に包まれた菖蒲の花はまるでブーケ。 これは、西洋絵画の何かをみたのだと思うが違うだろうか。

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「端午の節句図」

90歳の大往生ながら、あと10年生きていれば本物の画工になれたと言い残して亡くなる。高みへの渇望が凄い。 今回こそは富岳三十六景を買おうと思ったが、サントリー美術館には今回の展覧会図録しかなかった。
錦糸町の「すみだ北斎美術館」で鬼のテーマが開催されるので、そちらで購入するとしますか。

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