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金沢旅行記・3日目⑥~尾山神社 [金沢]

■尾山神社

●HP…
http://www.oyama-jinja.or.jp/index.html
●所要時間…30分

前田利家とまつ、また二代目から十七代目までを祀る金谷神社を併設。
藩祖を祀る神社なので古いのかと思いきや、明治六年に旧藩士らにより建立されたという。
外様大名だったため、利家が逝去した後も公に神としては祀ることはできなかったんですね。
当社が建てられる間は、卯辰山寺院群界隈に、卯辰八幡宮として祭られてきたということです。

和洋漢折衷の神門の上には日本初の避雷針。
ギヤマン張りの三層目の灯は昔、灯台代わりになるほどであったということです。
また裏手の東神門は旧金沢城二の丸から移築したもの。
1760年の大火でも焼け残り、山門に彫られた二頭の龍のおかげと言われています。
釘一つ使わない素晴らしい名作ゆえの伝承ですが、なんと作者不詳。心がざわつきますねー。

神苑は見所の一つであるにも関わらず、最近の風雨にさらされ荒んでしまっていました。
尾山神社は元は加賀藩主の別邸「金谷御殿」でした。
この池も金谷御殿時代のもので、かつては「辰巳用水」から水をひいていたそうです。辰巳用水なくては兼六園も金谷御殿も、金沢の豊かな人の暮らしもなかったかもしれませんね。本当の英雄は、この辰巳用水を作った板屋兵四郎のような人を言うのでしょう。

水溜りのある「沢渡り」「八つ橋」を、おそるおそる渡りつつ、「図月橋」の眺めを楽しむ。
思い過ごしかもしれないが、金沢の鯉は妙にゆったりとしている。
人間が近づいても餌をねだりに集まらないし、顔もあげず驚きもせず、鷹揚と構えている。
それともただ単に、寒いだけなのかな(笑)

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↑看板に「ひゃくまんさん」。愛されてますね

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↑門松も豪華です
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背後からの矢を防ぐ、母衣をつけた利家
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↑蓮や蕨をモチーフにしたオブジェ。景観を損ねません
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↑金谷神社
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↑けっこうトリッキーなポーズをとっています
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↑八つ橋
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↑橋は渡れません

※2014/12/31の旅行記です


金沢旅行記・3日目⑤〜旧加賀藩士高田家跡・足軽資料館 [金沢]

■旧加賀藩士高田家跡

●所要時間…15分

屋敷はなく長屋門と土塀を再建した場所です。池泉回遊式庭園は一部現存していたとのこと。
藩士の政務、主に「仲間(ちゅうげん)」の説明が中心。

もともとは足軽と小者の間の身分だったため「中間」といわれていたのが、江戸時代に入り、武士に仕える最下級の奉公人となった。通いと住み込みと二種類あり、年季奉公の中間は当たり前ですが、忠誠心は薄かったようです。

自前で仕立てた木綿に、動きやすい草鞋。雨や雪の日は柿渋をぬりこんだ和紙できた合羽。
どれだけ寒くても足元をたくしあげてむこうずねをむきだしにしますよね。
桜田門外の変で、大老井伊直弼が登城する際の大名行列。テレビ・映画で何度も再現されるので良く覚えています。
長屋の中は便所はなく、外で用足し。台所も母屋のたたきの上。うーん、貧しいですね。

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■足軽資料館

●所要時間…25分

高西家、清水家という足軽屋敷を移築したものです。前者は平成六年、後者は平成二年まで住居として使われていました。
近年まで使用されてたからか、防犯のため武家屋敷では掲げることのない表札がかかっていて、うーん生活感。

最下級の侍とはいえ、金沢の足軽は他の藩より恵まれていると感じた。
接客を重視した庭付き一戸建てで、現在で言うところの3DK+サービスルームといったところ。
江戸の足軽や弱小藩より風流な生活をしていると思いました。
ただ、庭は鑑賞用としてではなく、主に果樹や野菜を作るためだったようです。

また、来訪客も同じ位の足軽に限ったとされ、位の高い武士は上がらなかったそうです。
身分の低い奴の家に上がれるかっ、てことなんですかね。まあ無用な気遣いを相手にさせない配慮もあったのでしょうか。
ちなみに厠は、客人用と家人用で別々。家人用は玄関脇、客人用は座敷奥の濡れ縁脇に。
この間取りだと玄関の周辺が臭かった・・・ことがあったのではないかと、ちょっと下世話な想像をしてしまいますね。勿論台所の近くに置くわけにはいかないし。
ちなみに玄関からの使者は吉報、勝手口からの使者は凶報といつからか習慣が定着したとのこと。

天井までの空間を生かし、ロフトのような天間(あま)という場所が設けられていました。
ここは刈り取った藁を保管しておき、農閑期の手仕事をしたり、子供部屋や物置にと様々に利用していたそうです。
また、藁そのものに防寒効果があり、一石二鳥だったようです。

足軽の教養として展示されている書物は、「生花作法」から「俳諧仕様帳」、などなど趣味や生活に役立つものや、なかには「切腹作法」なども!加賀藩では切腹の介錯は足軽の仕事だったとのこと。
また、「水野真法一伝流初伝」という流派の入門書もありました。
この流派、初めて耳にしましたが加賀藩に伝わる剣術の一波だそうです。

足軽の服装は「尻はしょり」か「山袴・法被」。着流しは足軽より位の高い侍しか許されていません。
普通、普段着の上に紋付羽織は軽装なので知らない人は逆だと勘違いしてしまいそうですね。
足軽といえば山袴姿に警棒を持って仁王立ちになっている門番姿を思い浮かべますね。

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↑遊歩道にもなっていてそのまま通り抜ける事もできます
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↑きちんと床の間もあります
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↑天間です。十分な高さがあります
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金沢旅行記・3日目④〜野村家(武家屋敷跡) [金沢]

●HP・・・www.nomurake.com
●所要時間…45分

ここもミシュラン二ツ星の武家屋敷です。
前田家の家臣、野村伝兵衛信貞家は馬廻り組や奉行まで勤めあげた家柄です。
当時の屋敷をそのまま残しているわけではなく、武家の没落のあと持ち主を幾たびか変えて豪商久保家の豪邸の一部を移築しているとのこと。入るとすぐに甲冑があり、客を迎えてくれます。

こちらも写真撮影を許可しています。
最初に足を踏み入れる『奥の間』『控えの間』には美しい襖絵が。鷺や花の白色が、茶錆色の襖にふわっと咲いてとても美しい。アクリル板(ガラス?)で保護されているため、光が反射してしまうのがちょっと惜しい。

見所は総檜作りの格子天井を有した【上段の間】。北前船の豪商、久保彦兵衛が藩主を招いた際に拵えた部屋。
また、狩野派の最高位にある佐々木泉景による山水画が美しい。ここは入室できません。
手前の『謁見の間』から『上段の間』の脇を通る廊下には「武者隠し」があり、左右から襖を立ててあたかも壁のように偽装することができます。藩主を迎えるため入念に用意したことが窺えますね。

小堀遠州好みの庭園は眺めていて飽きず、時間を忘れてしまいます。
濡れ縁に沿うようにもうけられた池の奥には滝まであり、その向こうに広がりを感じる。
限られた面積のなかで高低差をつける技巧には感心。手前の池の鯉が滝に落ちてしまわないよう、うまく造られています。

二階の茶室【不莫庵】へは石段を素足で登る。控えの間は珍しい真菰の茎張りの天井。ビーバーや小動物のねぐらの風景って、こんなかしら。なんだかほっとするような、落ち着くような。
茶室の障子ガラスから庭園を望むとまた別世界。眼下の風景を遠景と捉えればまるで山深い深窓の館にいるよう。

一階の土蔵は『鬼怒川文庫』として公開されていて、歴代藩主が受け取った書状や所持していた日本刀などが並ぶ。
中には明智光秀から十兵衛への、戦働きに対しての礼状もあり!
『そなたたちの努力によって、戦に勝つことができた。そなたが受けた傷の具合はいかがですか』と書いてあり、もちろん花押つき!9月25日とありますが・・・一体何年なのっ?
朝倉義景も1566年10月9日に「加賀国江沼郡横北口の戦い」で野村七郎五郎に感謝状を出している。

蝦夷との交易をする『北前船』の書類などもありました。この北前船で財を成した豪商、久保彦兵衛は加賀の発展に非常に貢献し、ペリー来航の際には、加賀藩が幕府に出費する防衛費の金子を用立てたとのこと。久保家はのちに武士に格上げされています。

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↑桐の箱の中に鶯の鳥かごを入れ反響を楽しむ声桶(こうけい)
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↑武者隠し
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↑不莫庵への階段
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↑神代杉の一枚板に四国産の「みどり松」の柱。すべて珍しいP1050027.jpg

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↑すぐ側に和菓子の「たろう」さんがあり、福梅を購入しました

※2014/12/31の旅行記です